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【インタビュー企画第2弾】審査委員の丸橋氏にインタビューを実施しました!

みなさん、こんにちは!よこはまアイデアチャレンジ運営事務局の平井嘉祐(横浜市立大学国際商学部3年)です。

インタビュー企画の第2弾ということで、今回は「第1回よこはまアイデアチャレンジ」に審査委員としてご協力いただいた丸橋裕史さんにインタビューを実施しました!

インタビュー企画の第1弾では、審査委員長の当麻哲哉さんと審査委員の秋山怜史さんにお話を伺いました。
今回はその続編となる第2弾ということで、「第1回よこはまアイデアチャレンジ」の総評からはじまり、ビジネスプランをつくるうえでのコツなどをお伺いしました。さらに美大出身の丸橋さんにしか伺うことのできない「デザイン」に関するお話も深堀りさせていただきました!アイデアの発想法についても伺うことができたので、ぜひ最後までご覧ください。

プロフィールのご紹介

丸橋 裕史 氏(審査委員)

丸橋企画株式会社 代表取締役
多摩美術大学 特任准教授

多摩美術大学美術学部卒。慶應義塾大学大学院修了。広告会社や外資系企業でマーケティングに携わる。MBA取得後、独立し自身の会社を設立。上場企業をはじめ複数企業の顧問に就任し、商品開発や新規事業戦略立案およびそのプロジェクトマネジメントを行う。

インタビュー

1. 早速ですが、自己紹介をお願いいたします!

丸橋 裕史 氏(以下、丸橋):丸橋企画株式会社代表取締役、多摩美術大学特任准教授の丸橋です。出身大学は多摩美術大学で、大学卒業後に広告代理店に勤務し、MBA取得後にウォルトディズニージャパンでマーケティング職につき、その独立をして自身の会社を設立しました。今は独立して6年経ち、7期目です。現在は上場企業の顧問を2社、中小企業が3社、計5社に就いており、商品開発や事業開発のお仕事をしています。同時に母校の多摩美術大学では特任准教授として教鞭をとっております。本日はよろしくお願いします。

2. 今回、審査員を通して感じられたことをお聞かせください!

平井 嘉祐(以下、平井):そもそもどのような経緯で審査員をお引き受けいただいたのでしょうか?

丸橋:僕は生まれは静岡ですが、人生の4分の3くらい、足掛け30年ぐらい横浜に住んでいました。そういった意味で、横浜はもはやマイホームです(笑)。今回はやっぱり横浜というご縁もありますし、協力させていただく必然性というか意義を感じると思っていました。横浜ががもっと魅力的になって、若い人がチャレンジできる場に関われるのはありだなと思い、お引き受けしました。
このイベントを通して、横浜という自分にとってかけがえのない場所がすごく「チャレンジングが生まれる場所」というか「若い人が輝く場所」というか……そういう風になったら嬉しいなと思っています。

平井:第1回でしたが、審査員をされてみていかがでしたか?

丸橋:正直第1回目っていうのもあって、全くどういう形になるか、やってみなければわからず、ドキドキしていました。ですが、蓋を空けてみたら、小学生から大学生・社会人と本当に幅の広い若い人たちが集まっていて、今チャレンジングな人はこんなにも多くいることを体感することができました。
最初は「大丈夫かな」と不安もありましたが、プレゼンを聞いたら参加者の皆さんがとても未来志向で清々しく、気持ちの良い1日でした。すごく未来が楽しみだなと思いました。だからこそこの取り組みは継続されていくべきだなと思いました。そういう課題意識の高い若者を増やすことは、運営の方々にとっても1つのチャレンジでもあると思いました。

3. 飛び抜けたアイデアを発想するためのコツを教えて下さい!

丸橋:そこはおそらくトレーニングだと思います。1回のアウトプットがどうというよりも、こういうアウトプットを出していける体質になれるかどうかが大切だと思っています。基本的に学生はインプット中心の生活を送っていると思いますが、今回この取り組みでアウトプットを1つ出せました。また、アイデアが自分の手から離れて人から評価をもらい、ある種さらされましたが、それは貴重な学びですよね。これを出し続けることによってアウトプット体質になってくると思います。講評における評価も大事かもしれませんが、その先どうアウトプット体質になっていけるのかに期待したいです。もちろん不慣れな事をしているので、うまくいってないのは当然であって、でもそんな中でなんとかまとめようとした努力をすごく感じています。まずはアウトプットできたことを評価したいです。

平井:なるほど。

丸橋:だからこそ、ビジネス的には穴だらけでも、人が笑顔になる姿が見えるとか、人間としてそれを受け入れられるなど、ソリューションや価値を生み出すアプローチは1つじゃないと思いますね。課題解決に対して人は対価を払うという大前提はありますが、課題ありきの前提だけでなく、「もっとこうなったら面白いのに、楽しいのに、ワクワクするのに」といったものでも人は喜んで対価を払うと思いました。そのようなことを普段から思い描くことは大切だと思いますね。

平井:今重要な言葉として「インプット」と「アウトプット」という言葉がありました。特にアウトプットという点では、今の学生はすごく現実的なところにとらわれてたり、もはや夢がないという学生もいたり、あるいはそもそもアウトプットできる場所も限られていたりしませんか?

丸橋:そうかもしれませんね。アウトプットを発表する場所が少ないかもしれないなと思いました。でも一方でアウトプット出す場所は日常生活でもいいと思っています。例えば普段の会話の中も1つのアウトプットの場など。普段の会話の中で「もしも〇〇がこう変わったらもっとよくなるのに」といった、会話との向き合い方が変わるだけでもアウトプットの場になると思います。

平井:僕は日常的に実践しています。授業に対する不満や「もっとこうしたらいいのに…」と思って友人と会話することはあります(笑)。

丸橋:ってことは平井さんはアウトプットをしている方の側ですね(笑)。私はそういった日常的なアウトプットが増えればいいなと思っています。確かに「よこはまアイデアチャレンジ」のような “お膳立て” されたアウトプットの場所ももっとあっていいと思っています。しかし、これを実現するためにはいろんな人、時間、労力がかかってくるので、頻繁に行うことは難しいことです。だからこそ、基礎体力をつける上で普段の日常生活のアウトプットは、もっと増えてもいいかなと思いました。
最近の学生がどのような会話をしているのか分かりませんが、今回のコンテストを見ていた時に、もっと自由に、もっといろんな切り口があるなというのは感じました。とすると、多分そういう発想を普段していないからなのかなと思っています。ではどうしたらいろんな切り口が出せるようになるのかと言えば、常にいろんな物に対して批判的な目を持って生活することだと思います。これができたとしたらもっといろんなバリエーションや切り口、アプローチの作り方とかが増えてくると思います。そういった意味で、コンテストとして成立した場が用意されていなかったとしても、普段の生活の会話のいろんな端々からそういう意識付けをするようなものとしていけば、いろんな切り口をもっと考えられるようになるのかなと。

平井:確かにそのとおりですね。一方で、日常生活から生まれた会話をビジネスコンテストのような整った場で発表するとなった時に、少し構えてしまいそうです。つまり、日常生活では発信できるけど、みんなの前で話すとなった時に「相手から批判されないかな」と思ってしまう学生がいそうですね。

丸橋:批判する人は多分います。でもそれは、批判されたことでその違和感に蓋をしてしまっているのかなと思います。違和感に蓋をするということは、大人も含め、違和感を無視してしまう体質になってしまっているのだと思います。例えば今コンビニに売っているものの中で健康志向なものって結構少ないですよね。コンビニという身近な存在の中からなにか課題を拾ってきてもいいですよね。

平井:すなわち「現場に赴く」ですか。当麻さんも同じことをおっしゃってました。

丸橋:そうでしたか(笑)。

平井:つまり、コンビニの中にある課題を拾ってくることって、現地に赴かなければできないことですよね。

丸橋:そのとおりです。日常生活から違和感を感じ、アウトプットすることは大切だと思います。また、一見すると馬鹿げちゃってるのかなと思うようなアイデアも、実は「面白いね」と言われて「これでいいんだ」というのが体験できる機会が増えたらいいなと思います。

4. とはいえビジネスとして成功するには、具体的なビジネスモデルの構築や資金の話が欠かせないと思います。どのようにバランスをとれば良いのでしょうか?

丸橋:これは議論の余地はあるかもしれませんが、ビジネス上の経済合理性を意識しすぎなくても良いのではないかと思いました。「よこはまアイデアチャレンジ」が「よこはまビジネスコンペ」という名前ではないことに意味があるなと思っています。対象者が小学生からという所にも。もしこれ経済合理性やプライシング、コスト意識とかマーケット規模とか…本当に厳密に見過ぎたら、小学生は苦しいと思います。あえて「アイデアチャレンジ」という名称からも、多少粗削りのプランであったとしても、アイデアを許容することが大事なんだと思っています。この部分については、議論の余地があるかもしれませんね。

平井:「よこはまアイデアチャレンジ」という名前まで考えてくださり、ありがとうございます。少し話が変わるのですが、アイデアを “デザインする” っていう言葉があると思います。「デザイン」にはいろんな定義があると思いますが、デザインの定義を教えて下さい。せっかく丸橋さんとお話できる機会なので、丸橋さんなりの定義をお伺いできればと思います。

丸橋:逆に、平井さんから見てデザインとはなんだと思いますか?

平井:実は大学のゼミで似たような話をしたんです。都市デザインもデザインですし、建築だってデザインだし…。僕が思うデザインは「視覚に訴えるもの」です。短絡的かもしれませんが(笑)。

丸橋:それも間違いなくデザインですよ。最近はさまざまなところにデザインが出現してきていますが、それだけ世の中にそれだけデザインが求められているということだと思います。同時に、デザインという言葉の裾野は広がったと思います。言い換えると、「広義のデザイン」ですね。平井さんがおっしゃるデザインは1つの具象物を作る「狭義のデザイン」ともいえると思いますが、「スタイリング」や「造形美」とも言い換えることもできると思います。これに対して「広義のデザイン」とは、「構想する」や「描く」にあたると思います。その他、「組織のデザイン」、「関係性のデザイン」、「制度のデザイン」、とか「ビジネスモデルのデザイン」、「行動様式」なども「デザインする」と言えますよね。そこには「意図する」とか「美意識をもって描く」といった側面からも、デザインの領域だと思っています。
広義であっても狭義であっても、完成された状態は常に描き、そのものが存在した時にユーザにとってどういう価値があり、どういう意味合いを持ち、どう目に映るのか、ということを想像することは同じで、今回のよこはまアイデアチャレンジでも同様に向き合っていました。このアウトプットがあったら、どういう喜ぶ人がいるんだろう、このアウトプットがあることで世の中にどういう意味づけがなされるだろうとという目で見ていました。

平井:なるほど、一歩引いた視点から結果を俯瞰されていたのですね。デザインというと、つい自分が1つのものを作り出すのに集中しちゃうイメージがあったのですが、引いた目線から設計図をイメージした時に、社会にとってどのような影響を与えるのかを判断しながら審査をされていたということでしょうか。

丸橋:そうですね。これはもしかすれば「アート」と「デザイン」の違いに近い議論にもつながってくるのかなと思います。一部私見も含みますが、アートは内発的動機起点。一方デザインにも内発的動機にも存在しますが、どちらかというと社会起点ないし社会問題起点という意味で、結果として個人視点ではないというのがデザイン視点なのかも入れない思います。

5. 最後に、次回以降参加される方々に向けて、メッセージをお願いします!

丸橋:もっと純粋に楽しんで欲しいなと思いますね。「これ楽しくない!?」「これ見てるとワクワクしない⁉︎」とか、自分自身が喜びを感じるものを形にして欲しいなと思います。自分自身がワクワクしてるものって、人をワクワクさせると思うんですよね。そうやって人を巻き込むことが、結果として社会を動かすことになると思います。
あとはこんなこと言ったら大人として失格かもしれませんが「そんな正論ばかり言うなよ」と思ってます(笑)。正論は誰でも言えるのだから。仮に粗削りでも、様々な意味で、議論が生じることにも意義を感じます。例えば自分自身が楽しんでる事って、楽しんでいるがゆえに光っているところもあれば、本人が気づいていない課題も絶対あるのではないかなと。これを審査員の目線から議論してアドバイスするなどコミュニケーションをする過程で、本人気づきや発見に繋がるとしたら、素晴らしい場になると思います。 
いろいろとお話ししましたが、やはり本人が楽しめているということはアイデアチャレンジにおいて必須なのではないかなと思いました。

平井:話が回りまわって、日常生活からのアウトプットが重要だというお話に戻ってきたような気がいたしました(笑)。

丸橋:そうですね(笑)。そのような日常を作るのがよこはまアイデアチャレンジなのだと思います。第一回は本当に清々しいすがすがしい時間と人に会えました。すごくいい取り組みでした。最後審査が終了したあとも、当麻先生を始めとした審査員同士で、満場一致で「続けて開催したほうがいい」と話しておりました。

大変お忙しいご予定の中、インタビューのためのお時間を作ってくださった丸橋さんに感謝しかありません。

最後に

大変お忙しい中インタビューのお時間を作ってくださり、本当にありがとうございました。
丸橋さんからしかお伺いすることのできない話がたくさん聞けて良かったです。

まだまだ続くインタビュー企画。次回は「第1回よこはまアイデアチャレンジ」で見事最優秀賞を獲得したチームの皆さんへのインタビューの様子をお届けする予定です。噂によれば受賞から約1ヶ月で本当に起業しちゃったのだとか……次回が楽しみです!

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